介護事業所は年に1回は必ず「高齢者虐待防止」の研修を行うようになっていますよね?それなのに、なぜ虐待は無くならないのでしょうか?虐待とわかっていて行っているなら、それは虐待ではなく「犯罪」です。ですが、虐待とは思わずに虐待をしている場合もあります。今回は、虐待の定義と具体例をお伝えしたいと思います。

今日もよろしくお願いします<m(__)m>
こんな瞬間ないですか?
①イラッとする瞬間
②つい、カッとする瞬間
③キレる瞬間
④自分の対応方法でヒヤリハット体験
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こんな瞬間は、こんな時。
①イラッとする瞬間 ⇒ 自分が良かれと思ってしたことに、暴力や感情で反応された。(想定外の反応)
②つい、カッと体験 ⇒ まわりに誰もいない時にBPSD等にうまく対応できず、大声を出してしまった。(思い通りにならない相手)
③キレる瞬間 ⇒ 夜勤時に一人で排泄介助に入り、抵抗され、つい手を抑え込んでしまった。(感情の爆発)
④ヒヤリハット体験 ⇒ 1人でエレベーターに乗り込もうとしている利用者さんの前に割り込んだ。又は、腕を引っ張り、訳のわからない理由を付けて呼び戻した。(急ぐ、焦る気持ち)
どうでしょうか?思い当たることはありませんか?私はあります。25年間介護の仕事をしていますが、今でもあります。ここで一つ皆さんにお知らせしておきます。①~④はあって当然なことです。
何故なら人間は感情の生き物だからです。
対人援助職の仕事の特性
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「相手の行動や気持ち、考え方に合わせるべきである」
という、相手基準の行動規範で行う労働なのです。
つまり、自分基準で行えない事に対するストレスを感じやすい特性がある労働を、感情の生き物が行っているのですから、一瞬感情が爆発しそうになることもあります。その事実を受け入れることもとても大切です。
そんな時は・・・
- イラつく気持ちで良いケアや対応が出来るはずがない。その場を離れる(距離を置く)ことも技術。
- 距離を保てない関係、位置では不適切ケアが虐待につながる。
上記の事を頭に入れ、
「介護職として距離を置く技術は必須!!」
と割り切ることが大切です。
高齢者及び障害者虐待の定義
①身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴力を加えること
②介護・世話の放棄・放任(ネグレクト):高齢者を衰弱させるような著しい減食,長時間の放置,養護者以 外の同居人による虐待行為の放置など,養護を著しく怠ること
③心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心 理的外傷を与える言動を行うこと
④性的虐待 :高齢者に対するわいせつな行為をすること又は高齢者に対してわいせつな行為 をさせること
⑤経済的虐待:養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該 高齢者から不当に財産上の利益を得ること
皆さんもご存知の通り虐待の定義は5つに分類されます。
身体的虐待の具体例
- 叩く、殴る、蹴る、やけどをさせる。
- ベッドに縛り付けたり、車椅子に縛り付ける。
- 1人で立てないソファーに座らせる。
- 向精神薬を過剰に服用させる。
- 機械浴に沈める。
- ベッドから落とす。
介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)の具体例
- 入浴をさせない。
- 衣類を洗濯しない。
- 水分や食事を与えない。
- 劣悪な環境で生活させる。
- 必要な介護・医療サービスを制限する。又は利用させない。
心理的虐待の具体例
- 脅す。(例えば・・・「もう手伝いませんよ!」などと言う)
- 侮辱する。(例えば・・・子供扱い・子供みたいな声掛け)
- 威圧的な態度をとる。(例えば・・・腕組みして仁王立ち)
- 無視する。(例えば・・・ナースコールを外す)
- 嫌がらせをする。(例えば・・・被り物)
性的虐待の具体例
- 裸のまま放置する。
- 下半身を裸のまま放置する。
- キスをする。
- 性器へ接触する。
- セックスを強要する。
経済的虐待の具体例
- 生活に必要な金銭を渡さない。
- 本人の資産を勝手に売却する。
- 本人の年金や預貯金を勝手に使い込む。
- 不必要なものを売りつける。
「セルフネグレクト」5類型に該当しない虐待
自己放任又は、自己虐待(セルフネグレクト):高齢者が自らの意思で、または認知症やうつ状態などのために、生活に関する能力や意欲が低下し、自らの意思で他者に対して援助を求めず放置しているなど、客観的にみて本人の人権が侵害されていることをいう。
自らの意志でも虐待??
「他者によるものか、自分自身によるものかという違いはあるものの、結果的にはどちらも「自己の心身の安全や健康が脅かされる状態に陥る」ことで、人権が侵害されている点では同様で、他者による介入が必要な状態であるため、「自己虐待」と位置付けられる。」
まとめ
イラッ、カッと、キレる、ヒヤリハットは、虐待につながるサインです。
その瞬間に利用者と距離を取ることは、「対人援助技術」であり、利用者から「逃げた」「仕事を放棄した」わけではありません。
誰か他のスタッフと交代することが出来るのであれば、遠慮なく交代した方が良いです。
虐待の具体例の中でも一番気を付けなければならないのが、ネグレクトと心理的虐待です。
この虐待は、「自覚無き虐待」と言われるほど、介護者が気がつかないうちに行ってしまう虐待です。
みなさんも、何が虐待になるのかをしっかり頭に入れて、自分のケアを振り返ってみてください。
今回はこの辺で!ありがとうございました。
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